2009年11月16日

What A Wonderful World

 その店で知り合いがライブをやると言ったから、出かけてみた。
 ただそれだけの店のはずだったのに、今ではすっかり気に入ってしまっていて、それほど頻繁ではないけれど、しばしば足を運んでいる。
頼む酒は大体いつも決まっていて、軽く飲みたい時は甘めにラムコークかサザンコンフォート。しっかり飲みたい時にはバーボンをロックで。
 アメリカのパブを意識した内装と音楽で、僕には居心地の良い場所だった。

 その日、店は人であふれかえっていた。
僕が店に入ったのは、もう夜12時を回っていた頃だというのに、いまだにステージとその周辺では演奏者と客が入り乱れ、ライブが続いていた。開店何周年かの記念イベントだったらしい。
 それなりに店を気に入っていても、まだ店員と親しくなるほどではない。そんな騒ぎをよそ目に、カウンターで静かに飲んでいるつもりだった。
 けれど、そこでかかっている音楽は本当に良質のものだった。耳は勝手に音を追いかけ、身体は動いていた。
 ブルース、ブギ、ディキシーランド。南部の黒人達が持つ賑やかで陽気な雰囲気が、そのままそこにあった。
 ディキシーランドは冠婚葬祭の音楽だとよく聴くけれど、こんな場で生の演奏を聴くとつくづくそれを実感する。お祝い事には欠かせないのだろう。

 やがて、演奏が一段落したところで、ステージの後ろに写真が一枚飾られた。
 夕陽にたたずむ一人の男のシルエットだ。
 プレイヤー達の表情を見ていると、大きな存在だった人物なのだろう。僕はあいにくと面識はないが、彼らの気持ちがこれから音に乗って届いてくるのだろうか。
 彼らは再び楽器を手にし始めた。
 ライブのセカンドステージが始まる。

  つづく
posted by TO-SAN at 01:53| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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